「ピロティー式建物は人命には安全である。」という講座を受けてきました!
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マンション管理学会関西支部主催「マンション管理市民大学講座」(12月5日)に出席。
三部構成の中、一番最後にわずか30分間の持ち時間でなされた、大阪大学名誉教授の鈴木計夫先生のご講演に大変興味をもちました。
表題だけを読めば、誤解を招くことになるが、先生の持論では、ピロティー式建物を有効活用したら、他の建物より、耐震性並びに安全性が高まるというものである。
阪神淡路大震災の際、大きな揺れの後、かけた言葉に象徴されるという。一般建物では、「おい、大丈夫か?」一方、ピロティー式建物では、「おい、も
う、起きてるか?」の違いがあったとのこと。
また、特筆すべきは、このピロティー式建物は、東日本大震災の津波による大被害状況の中にあって、大きな破壊力をもつ津波がこのピロティー空間の効果で、建物下部をほぼ素通りしていたという事実があることである。さらに、この空間利用の自由なピロティー式建物は、社会からの要望が極めて高いという
歴然たる事実も認識しておかなければならないという。
「ピロティー式建物は危険性がある。」と評価されがちであるが、鈴木先生は逆に「予想を超えた地震入力」に対しても、その安全性は保たれるであろうという方法を考えているという。
それは、「層の変形能力を十分大とする。」ことによって、「免震構造化」が可能というもの。
耐震補強といえば、
①壁の増設、補強(厚さ等を増す)、壁開口部の閉鎖等
②腰壁、垂れ壁の柱側にスリット(隙間3~5㎝幅)を入れる(短い柱のせん断破壊を防ぎ、変形しやすい曲げ破壊に導く)
③鉄骨ブレース(斜め材)を入れる。
④ダンパー(制震装置:揺れ止め)を組み込む
⑤柱の補強
②でせん断破壊を防ぐが、曲げ耐力、変形能力不足の場合は補強する。柱の補強法として
a鋼板巻きたて b繊維シート巻きたて等がある。
ただし、上記の補強方法は、せん断破壊を防ぐ効果はあるが靱性、つまり、粘り強さは望めないとのことです。
鈴木先生はピロティ式建物の肯定派であられます。
興味のある方「大阪大学名誉教授 鈴木計夫」で検索してみて下さい。