積立金値上げ 「『色』に合った提案を」長寿命化テーマに「二つの老い」で対策 10/12 東京都セミナー
東京都・一般社団法人東京都マンション管理士会は10月12日、西新宿の都議会議事堂1階都民ホールで「東京都マンション管理・再生セミナー2024」を開いた。
「長寿命化」をテーマに、マンションみらい価値研究所の久保依子所長が「長く住み続けるために、今すべきこと」のタイトルで居住者・建物の高齢化に伴い発生する課題、坪内1級建築士事務所の坪内真紀代表が「高経年マンションの価値向上」について、それぞれ解説した。
久保所長はまず、居住者の高齢化に伴う認知症患者や孤立死の増加に言及。デイサービスの送迎で来客用駐車場を、またヘルパーの鍵の受け渡しに宅配ボックスを使いたい、いわゆる徘徊や共用部分の不潔行為が生じているので防犯カメラを再生して欲しい、といった住民からの相談例を挙げ、管理組合はどうすれば良いか問いかけた。
久保所長は「正解はない。(理事会等で)話し合ってもらうことが大事」とし、認知症の人の行動異常などへの対応も「百通りの事例と百通りの対応方法がある。その人に合った対応をその時考えるしかない」と述べた。
建物の高齢化では修繕積立金不足を取り上げた。
3マンションにおける40年間の工事金額と修繕積立金残高の推移を示し▽築22年で実施した大規模修繕で残高がなくなり以後積立金を値上げ▽当初から積立金をため対応▽工事の都度借金をしているーと、それぞれ分析。
その上で、こういった経緯を踏まえると「自分のマンションの色が見えてくる」と解説。積立金の値上げを行う場合、そうした「色」に合った提案を行うとよい、とアドバイスを送った。
坪内代表は価値向上実現のためのポイントとして▽話し合いの体制づくり▽専門家の活用▽長期修繕計画の見直し▽助成制度の活用ーをピックアップ。
長期修繕計画については「マンションの未来予想図」だとし、計画に「皆さんのやりたい工事が入っているか。そういうことを話し合うことに意義がある。もっと自分たちのものにしてほしい」と力を込めた。
話し合いの体制づくりとして住民による意見交換を提案した。
「委員会だとしゃべらないけど、説明会とかだとわーっとしゃべる人がいる」とし、意見交換をすると住民のマンションに対する考えが分かる良い機会になると述べた。
以上、マンション管理新第第1284号より。