「担当者謝罪」で和解成立 逗子・斜面崩落訴訟 遺族側は刑事処分求めず 6/19 東京高裁
神奈川県逗子市で2020年2月、マンション敷地の斜面が崩落し市道通行中の高校生が死亡した事故で、遺族が管理組合、当時の管理業務受託会社・担当者に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は6月19日、東京高裁で裁判上の和解が成立した。
和解内容は▽管理会社の担当者が遺族に謝罪する▽遺族側は検察審査会への申し立てを含め、担当者に刑事処分を求めないーなど。
遺族側代理人の南竹要弁護士は「二度とこのような被害を生んではならないという思いで訴訟を提起し、社会に向けて問題の所在を発信してきたつもり」と遺族の思いを代弁するコメントを出した。
事故については「宅地の老朽化が進むと同時に大雨等の頻度も高まっており、土砂災害リスクが身近に迫っているにもかかわらず一度民有地の崩落事故が生じると現行の法制度の下では住民同士が訴訟をするなどして問題の解決に当たるほかありません」とリスクを指摘。
「行政側による積極的な法制度の改定や運用上の緻密化を早急に進めるよう注視していく必要がある」とコメントした。
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昨年12月の横浜地裁判決は管理会社・担当者の不法行為責任を認め、両者に連帯して約110万円を支払うよう命じた。管理組合側とは一審判決前に和解している。管理会社は控訴せず地裁判決が確定。今年3月に賠償金を支払った。担当者は自身の不法行為責任を否定し控訴。会社側による賠償金支払後は「仮に損害賠償債務が認められるとしても弁済で債務は消滅した」としていた。
6月4日の口頭弁論では判決期日として8月29日、一方で和解期日として6月19日が設定され、遺族側弁護士は「(裁判所の和解勧試に応じ)和解が成立する可能性はある」と述べていた。
遺族側は一貫して「金銭の問題ではない」とし担当者の謝罪を求めていたが、謝罪の意向を示したため和解に応じた。
以上、マンション管理新聞第1273号より