81管理組合で違反発覚 関電コミュニティに指示処分 重説・契約関係で 国交省近畿整備局
国土交通省近畿地方整備局は8月29日、関電コミュニティ(本社大阪、杉本秀人社長)に対してマンション管理適正化法に基づく指示処分を行ったと発表した。
処分理由は8項目に及ぶ。
まず①管理受託契約締結前の重要事項説明会の未開催・説明会1週間前までに区分所有者等全員に交付する重要事項等の記載書面未交付②同説明会に関し1週間前までに示す開催日時・場所の未掲示③複数の管理組合で区分所有者と管理者等への重要事項説明書に事実と異なる記載。
続いて④複数の管理組合で同一条件の管理受託契約更新で区分所有者と管理者等への重要事項説明書に事実と異なる記載⑤複数の管理組合で管理受託契約締結後の管理者等への契約成立書面に事実と異なる記載⑥複数の管理組合で管理受託契約締結後の管理者等への契約成立書面交付の遅滞。
⑦複数の管理組合で保管口座への移管未実施⑧管理事務報告の遅滞ーとなる。
同社によれば計81管理組合での違反。重複している管理組合があるため違反は計89件。
このうち③④の重要事項説明書に事実と異なる記載をした点が計77組合に及ぶ。
③は最多の47組合。例えば正しくは「関電コミュニティ」と記載すべき収納口座の印鑑保管者を「管理組合」としたり、パスワード保管者に記載漏れがあったりした。
④は30組合。雑排水管清掃の記載漏れや管理員の勤務時間の誤記などがあった。
同社によれば地域でセクションを分け、それぞれのセクションが重要事項説明書や管理受託契約書の作成・確認を行っていたが、きちんとチェックできていなかった。
2020年12月に同社は重要事項説明書・管理受託契約書の書式を変更し運用を開始したが、この新しいテンプレートを使い始める際に誤記や記載漏れが発生した。
社内調査を開始した22年2月から随時是正したが、それまでの間は事実と異なる記載があった。
書式を変更したのは16年4月に関西の管理事業を吸収分割で取得したMIDファシリティ(現関電ファシリティーズ)の管理受託物件と、同社がもともと管理受託していた物件で「それぞれの書式があったため」統一化を図る狙いがあった。
他では⑥の契約成立書面交付の遅滞は5組合。同社によれば違反期間の最長は半年。⑧は1カ月強の管理事務報告遅滞があった。
⑦は2組合。同社によれば1組合は旧原則方式でリプレイス後の20年5月に集金代行会社を導入したため「当社の収納口座扱いになるので移管しないといけないが、できていなかった」(同社)。違反は約2年。
もう1組は組合の指示を受けたときに移管する合意があったが管理組合の収納口座のほかに同社名義の収納口座を経由した収納もあり、「適正化法の例外措置が適用されないことが判明した」(同)。違反は10年6月~22年10月の約12年に及ぶ。
①②は同一の1組合。
同社によれば重説書は交付していたが、説明会開催日時等の書面がなかった。
監査役の指摘契機 横領等の不正はなし
違反が判明したのは22年6月。21年10月ごろ監査役によるサンプルチェックで指摘があり社内調査を実施。その後、弁護士5人の第三者調査チームが22年4~6月に当時の全受託物件536件を調査して分った。誤字や脱字など軽度を含む378件を整備局に報告した。
81組合には確認書を取り交わした。
総会での是正承認は「残すところ8件」(同)だと説明している。
監督処分基準によれば違反項目には業務停止の内容も含まれているが、軽減措置が適用され指示処分になっている。
再発防止策では重説書等は別の部門が作成・確認した書面を従来のセクションがチェックする。この別部門チェックが遅滞がないか期日管理もする。課長以上を対象に弁護士による年2回の研修実施なども掲げた。
違反数の多さについて同社は「非常に恥ずかしい話で内部統制が効いていなかった。契約書や重説書をチェックしていたが、そこが非常に甘かったので今回作成を別部門に移しダブるチェックしている。間違いを今後撲滅していきたい」と話している。
以上、マンション管理新聞第1246号より