EV普及へあの手この手 東京都は新築マンションに充電設備整備義務付けへ 充電「運用」に新サービス
2050年のカーボンニュートラル社会の実現に大きな鍵を握るのがEVだ。国は35年までに新車販売でEV100%を目指しているが、EVを普及させるためにはEV用充電設備の設置拡大が急務となる。
国内新車販売のEV比率1.7%
諸外国と比べると普及率は低いが、国内自動車販売のEVシフトは着実に進んでいるようだ。一般社団法人日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が1月にEVの22年国内販売台数を発表した(左表・略)。それによれば前年比2.7倍の5万8813台、乗用車全体に占める割合が1.71%と初めて1%を超えた。中でも日産の「サクラ」に代表されるEV軽自動車が前年比49倍増の2万7221台と市場拡大を牽引した。
今後一段とEVが大衆化するためには、EV用充電スタンド等のインフラの整備が欠かせない。国は30年までに15万基の充電設備の設置を目標としているが、その一方、自宅への設置も欠かせない。
特に、分譲マンションでは共用部への設置となるため住民の合意形成等でハードルは高くなるが、乗用車のEV化の流れに沿ってマンションでも設置が進み始めた。
住民にEV保有者が一人もいなくても、国や自治体の補助金もあって「資産価値向上を目的」にEV充電設備を導入する既存マンションの管理組合も増えている。
行政もマンションへのEV普及に必死だ。
東京都は全国で初めて新築建築物にEV充電設備の整備を義務付けた改正環境確保条例(左表・略)を昨年12月15日の都議会で可決した。2年間の周知期間を設けて、25年4月に施行される。
10台以上の駐車区画を有するマンションは1台分以上の充電設備、加えて駐車区画の20%以上の充電設備用配管などの整備基準を設けた。
また、5台以上の駐車場区画を有するマンションにしても一定の誘導基準を設けた。
マンションへのEV普及には充電設備の設置とともに、その運用方法や、維持管理システムの整備も必要となる。例えば、充電器の使用電気料金の精算をどうするか?
そこで東京都は充電サービスに関連する団体・事業者などで構成する「マンション充電設備普及促進に向けた連携協議会」を設置し、バックアップ体制を整えている。
今後は東京都に続いて、マンションへのEV充電設備の義務付けを法制化する自治体も多く出てこよう。
マンションへの充電設備設置はまだスタートしたばかり。技術は日進月歩で次々と新技術を用いて充電サービスに参入してくる企業が出てこよう。より利便性の高いサービスの開発が期待される。
以上、マンション管理新聞第1229号より。