大阪府「管理不適正」で実態調査 適切な機能が対応課題 管理組合・規約・長計・修繕積立金・・・
「管理不適正」が発生するソフト面の要因を14項目抽出ー。大阪府が6月24日に公表した「管理不適正マンション実態調査」の報告書(概要版)で、建物・設備の不全状態引き起こす複数の原因を示している。
報告書では分譲マンションの適正化に向けてはソフト・ハードに密接な相互関係があり、課題解決には一体的に対応をはかる必要があることが「改めて分かった」とまとめた。
ソフト面では管理規約・管理組合・長期修繕計画や管理費・修繕積立金制度があり、それらが適切に機能していることが「まず一番目の対応課題といえ、その徹底が求められる」とした。
管理不適正のサンプルとして6マンションをピックアップ。ソフト・ハードそれぞれ3マンションずつ調査した。管理不適正の定義は、ソフト面は「管理規約がない、管理組合が機能していない、管理費・終戦積立金を徴収していない」、ハード面が「既に外壁の剥落等により、居住者や建物自体に危害を生ずる恐れがある」としている。調査機関は2020年11月~21年2月。現地調査やヒアリングなどを実施した。
ソフト面の管理不適正の要因14項目(表参照)中①~③、⑥⑧、⑩~⑭の10項目は、一般社団法人日本マンション学会が17年に『マンション学』で示した項目を採用。今回の調査で④⑤⑦⑨が新たに抽出されたとしている。
報告書によれば、賃借人の増加(④)は1棟で15戸中9戸が賃貸。
空き住戸の増加(⑨)では3棟で大半が空き家。A・B館がある1棟は28戸中22戸、残り1棟は22戸中20戸が空き家と「末期的な状況を呈している」とい適している。
ソフト面の管理不適正の要因
①分常時の未整備(管理組合の未設立等)
②管理に無関係な大口所有者存在(分譲事業者の管理への関与)
③投資型やリゾート型での所有者の分散
④賃借人の増加
⑤その他居住目的以外の所有者の増加
⑥管理会社の倒産(管理していた会社・主体の倒産・消滅)
⑦無秩序な増築や住戸リフォーム
⑧反社会的団体の介入・地上げ進行
⑨空き住戸の増加
⑩管理費・修繕積立金の不足もしくは未徴収
⑪修繕積立金の毀損・紛失
⑫低層階店舗区画の需要低迷
⑬地価下落・マンション需要の低迷
⑭災害や欠陥による過分な費用負担
以上、マンション管理新聞第1175号より。