『併用型』選択に消極意見も 管理会社社員100人に聞く 重説会「100%近く対面」 IT重説書面電子化
3月1日のマンション管理適正化法・同政令・同施行規則施行で重説書などの書面を電磁的方法で交付できるようになった。同日付けで出された国土交通省の通達で、従来対面を求めていた重要事項説明・管理事務報告についても、一定の条件でITを活用した場合、対面と同様に取り扱う解釈が示された。ただ完全オンライン型の重説会の実施は、まだ「ハードルが高い」とする指摘が出た。
国交省の通達では、実際にITを活用した重要事項説明書等を交付する場合の方法などは、一般社団法人マンション管理業協会(管理協)が3月1日に策定・公表した『マンション管理委託契約における重要事項説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法による交付に係わるガイドライン』に準拠して実施する必要があるとしている。
重説・重説会等についても、管理協のガイドラインへの準拠を求めている。
いずれも実施に際しては、あらかじめ管理会社が管理組合側の承諾を得ることが必須となる。承諾が得られない場合は従来通り紙や対面での実施となる。
書面の電磁的交付は大きく分けてコンピューターネットワークと電子記録媒体を利用する方法になっている。
大阪の管理会社で東京の拠点で勤務している社員は、管理者等への書面交付は「電子メールにPDFを添付して送るのが一番やりやすいんじゃないかなと思う」と感想を口にする。
この場合、ガイドラインで求めている管理者等から承諾書を得られれば実施できるからだ。
会社の社員は「ほとんどの物件が会計の支払いを電子決済にしていて、そのやりとりも電子メールでしているので承諾を得やすいかなと想定している」と話す。
各区分所有者に電子化した重説書を交付する際は、区分所有者ごとに承諾を得る決まりだ。
このため、東京の管理会社の社員は、承諾した区分所有者が多数に及ぶ場合は「ホームページにアップしてダウンロードしてもらう方法が実施しやすい」という。
従前と非同一条件の契約更新や新規契約における重説会については、ガイドラインでは事前に各区分所有者の承諾が必要となっている。
大阪の管理会社の社員は、区分所有者全員の完全オンラインは「ハードルが高い」と指摘する。全員の同意が必要な点で「電力の高圧一括受電と同じように難しい」と連想する。
別の会社の社員も「いわゆる書面決議と同様、それなら意味が薄れる」と指摘している。
大阪の大手管理会社の社員は、完全オンラインで実施できるのは「10~20戸未満のマンション」とみているが「おそらく100%近くは対面になると思う」という。
リアル・オンラインの併用型での実施も可能だが、別の会社の社員は「事前に承諾書を取得したりネット環境を確認する手間を考えてするしかないが、リアルでやった方がいい気がする」と話す。
ただ、従前と同一条件の契約更新における管理者等への重説や管理事務報告は「ITを使えれば楽になるかな」と話している。
以上、マンション管理新聞第1165号より。