隣接マンション 先行き懸念 解体物件と同時期建設 管理組合なく無人状態 滋賀県・野洲市

投稿日:2020年10月19日 作成者:福井英樹 (1850 ヒット)

滋賀県野洲市が行政代執行で解体した無人マンションの跡地に隣接している、同じ年に建ったもう1棟のマンション(築48年、8戸+2・事務所1)について、市が先行きを懸念している。このマンションは、空き家対策特別措置法の対象になる空き家ではないため、市は特定行政庁の県に建築基準法による対応を要請している。

このマンションと解体された無人マンションは、建物完成後に敷地が分割されて別々の建物になった経緯がある(2019年3月25日付第1100号に関係記事)。

今年9月8日時点の登記事項証明書によれば、区分所有者は、3戸と事務所とそれぞれ所有している1人を含む5人と2法人の計7人。専有面積は住戸が無人マンションと同じいずれも38.22平方メートル。事務所が37.42平方メートルだった。

滋賀県建築指導室によれば、現在居住者はいないが、法人1者が不定期に利用している。

県が無人マンションに対して建築基準法10条に基づく勧告をした2010年1月に、このマンションの区分所有者にも同法の勧告をしていたという。勧告は「適切な維持保全をしてほしいという内容」(同室)だった。

同条は「相当の猶予期限を付けて」勧告することができる規定だったが「理由は分からないが、勧告の文書を見る限り期限は付いていない」(同)。

昨年11月に県は同法12条7項に基づき現地調査を実施した。調査で外装材の破損や飛散などの恐れがあったため、区分所有者に防止する措置を求める文書を通知した。

通知に対して区分所有者がどう対応したかや、所在不明の区分所有者の有無については「申し上げられない」(同)という。

野洲市住宅課によれば、県から区分所有者が外装材などの一部を直したと報告を受けたが、無人になり老朽化が進むと再び行政代執行になりかねないため「懸念している」としている。

今年7月には山仲義彰市長が三日月大造県知事と面談し、「空き家対策特別措置法の対象とならないよう適切に対処してほしいとお願いした」という。県建築指導室は「建築基準法上でできることはしている」と話している。

同室によれば、現在区分所有者と定期的に話し合いを続けており「詳しいことは言えないが、みんな前向きにどうしようかという話になっている」としている。

以上、マンション管理新聞第1151号より。

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