市が応急工事実施へ マンション敷地斜面崩落 3月上旬にも着工 管理組合に依頼も 対策進まず
神奈川県逗子市で分譲マンション(築16年、38戸)の敷地の、のり面から土砂が崩落して女子高校生が死亡した事故で逗子市は2月13日、のり面の応急工事を実施する方針を明らかにした。
同市都市整備課によれば、応急工事は通行止めにしている市道の再開に向けて安全を確保するために実施する。事故後、市は、管理組合に安全対策を求めていたが「なかなか進まない状況で、市が動いた方が早く対応できると判断した」としている。
応急工事は、管理組合の承諾を得た上で、3月上旬に着工する予定。工事は「のり面に対して行うが、工事内容や範囲は検討中」(同課)。
工事に係る費用については「管理組合の負担と考えているので今後交渉していく」(同)という。
同課によれば、管理組合は事故後「しょっちゅう理事会を開いていると聞いているが、詳細は言えない」としている。
事故から2日後に現地調査を実施した国土交通省の国土技術政策総合研究所・土砂災害研究室が2月14日に公表した調査結果の速報版によると、斜面は東北東向きの日当たりの悪い急斜面で「風化により崩落したもの」としている。
崩落箇所の幅は上部約9メートル・中部や下部約8メートル、深さは1メートル前後で最大1.6メートル程度とし、斜面の角度は54度と推定している。
崩落部分については斜面に残存する土砂を除去し、風化を防止するための被膜が必要と指摘。斜面下部は、落石防護柵の設置で「通常の安全性の確保は可能」としている。
◇
関係者によれば、同マンションの管理業務を受託している大京アステージは今回の事故を受け、敷地に、のり面などがある他の管理受託物件で、調査・点検を実施する方針がある。
調査の実施についてグループ広報のオリックスは「各管理組合様の物件に関する事柄になるので詳細は控えたい」と回答した。
ただ「管理組合さまから調査の要望があった場合には、調査会社や調査期間をお伝えする準備は進めている。ご要望があれば、お伝えするエリアは特に限定していない」としている。
以上、マンション管理新聞第1130号より。