敷地の斜面が崩落 逗子のマンション 通行中の高校生が死亡  管理責任 「管理組合にある」

投稿日:2020年02月18日 作成者:福井英樹 (4234 ヒット)

神奈川県逗子市で2月5日、市道沿いの石積みの上にあった、のり面から土砂が崩落し通行中の女子高生が巻き込まれて死亡する事故が起きた。

同市都市整備課によれば土砂があったのり面は分譲マンション(築16年)の敷地で「完全に民有地」。管理責任は「マンション管理組合にあると考えている」とする。

マンションの管理業務を受託するのは大京アステージ。グループ広報を担当するオリックスによれば、敷地は区分所有者全員の共有。管理組合がのり面の保全計画を持っていたかどうかは「個別の契約内容に入ってくるので回答を差し控えたい」としている。管理会社として今後、管理組合を「できる範囲で全力でサポートしていきたい」としている。

事故から2日後の2月7日、神奈川県の要請で国土交通省の国土技術政策総合研究所・土砂災害研究室が現地調査を実施。県砂防海岸課によれば、調査は目視で管理組合の承諾を得て行った。

同室から、この調査結果の概略の報告を受けた市都市整備課は、のり面は岩盤上に表土があり「岩盤が風化して表土とともに一緒に押し流されたのではないか、という見解だった」としている。

これまで事故現場で「小さな崩れが起きていたこともないし、そうした相談もなかった」(同課)。同課は事故後、管理会社を通じ管理組合に「安全対策を早くしてほしい」と求めているという。

指導に面した民有地ののり面が崩落して通行人が死亡した場合、仮に過失があれば、刑事責任を問われる可能性があるのか。

山上知裕弁護士は「あり得るだろう」という。罪は「業務上過失致死。過失致死の可能性もある」とし、責任を問われるのは「分からないが、実際に管理行為を行う理事長になるだろう」としている。その上で過失を問われるとすれば「予見可能性があったかになるが、予見する予兆がなかったら、なかなか難しいと思う」と話している。

濱田卓弁護士も理事長が「具体的な危険性を認識していたのに何もしなければ、業務上過失致死になる。ただ民事よりも過失の程度が高く要求されるので刑事責任を問うのは難しいだろう」とする。

民事では民法717条の土地の工作物等の責任の損害賠償責任を負う可能性がある。折田泰宏弁護士は「敷地そのものが工作物か、という議論はあるが、少なくても工作物責任が準用されるだろう」と解説する。

山上弁護士は「おそらく共同不法行為責任で個々人が連帯責任を負うのではないか」とにらむ。

 

以上、マンション管理新聞第1129号より。


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