売却開始 新築から4年後 一般的な分譲と異なる趣き 野洲の無人マンション 原始所有者 宅建業者か確認できず
野洲で問題になっている無人マンションは、一般的な分譲マンションとは趣が異なる点が多々ある。
最初に各住戸の保存登記を行った業者は、当時京都に本社があり、登記上は不動産管理や喫茶店経営などを行っていたが、「不動産の売買」や「仲介」は事業目的に記載されていなかった。仮に一般人同士の間で各住戸の売却が進められていったとすれば、管理規約や管理費といった、分譲マンション管理に不可欠な基本的事項が設定されていなかった可能性もある。
建物の登記を確認すると、このマンションは新築された1972年12月時点では、通路を隔てて隣接している4階建てのマンションの付属建物だった。その約半年後に建物が分割登記され、敷地も分筆されている。
業者から、各住戸の区分所有権が移転したのは、新築から約4年後の1976年8月だった。売買名目で、その後78年1月までの間に敷地持ち分を含め、全9戸の区分所有権が移転しているが、一般的な分譲マンションでは考えにくい経過をたどっている。
隣接しているマンションは全11戸。店舗の2戸を含めた10戸が新築から約7カ月の73年7月から76年2月までの間に売買が行われていた。残り1戸は事務所で、78年7月にこの業者から贈与されていた。
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この業者が設立時に宅地建物取引業者だったかは不明だが、各都道府県が備える名簿を転写し収録している住宅新報社発行の『宅地建物取引業者名鑑(西日本版)』によれば、法人設立1年後の73年3月時点で、この業者の記載はなかった。
同業者は74年10月、滋賀県に本店を移転しているが、同県によれば、本店を移転した以降、やはりこの業者名の宅建業者はいなかった。
以上マンション管理新聞第1100号より。