雨漏りを止める技術 1回の調査と1回の工事で、ほぼ100%の雨漏りが改善され、雨漏り予備軍も検知可能 「大規模修繕工事を必ず成功させる本」阿部吉男著 幻冬舎刊 より
表題の書の特集④より抜粋。
本文でもお話ししたように、雨漏りは、工事会社のほとんどが苦手とする分野です。だからこそ、工事会社の技術力の優劣が明らかになる分野ともいえます。
「雨漏りを止める技術」の歴史を振り返りますと、昔は、技術者の勘や経験に頼って雨漏り原因を推定していました。しかし、勘が外れることが多く、その場合は、雨漏りの状態が長期化していました。
その後、色水を流す方法や、電気を使う方法などが現れ、一定の成果を上げていますが、雨漏りは圧力差で発生することもあり、これらの方法にも限界があるようです。
また、いずれの方法も現在の雨漏りを対象としていますが、雨漏りは1箇所止まると、次は別の場所から水が回って漏れることが多く、そのような「雨漏り予備軍」を事前に予測することはできないという弱点もあるようです。
このように、従来の雨漏りの原因を究明する方法には、正確性と再発防止性という2つの短所がありました。
これらを克服するために開発したのが当社の技術です。
一般に、雨水の通った箇所は周辺に比べて温度が低くなりますから、この性質を利用して低温反応を検知する赤外線サーモグラフィカメラで、雨水の低温反応をさかのぼり、最終的に雨水の浸入口にたどり着くものです。簡単にいうと、水がポタポタ漏れている「出口」からスタートして、水の通り道を逆流するかのように追いかけていき、最終的に「入口」を見つける方法です。
ただし、温度が低くなる要因は、水が通った箇所だけでなく、風が当たる箇所や冷房が当たる箇所、結露など、さまざまです。
そこで、当社では過去の雨漏りの資料をデーターベース化して、人工頭脳で解析できるようにしました(特許出願中)。
この人工頭脳による解析技術のおかげで、これまで正確性に難のあった赤外線サーモグラフィカメラを用いた調査方法の正確性が向上したのです。
この当社技術を用いれば、1回の調査と1回の工事で、ほぼ100%の雨漏りが改善されており、かつ雨漏り予備軍も検知できる点が大きな特徴です。これらの実績から、中小企業庁の外郭団体である独立行政法人 中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)の「販路開拓コーディネート事業」に採択されるなど公的にも注目されています。
ただ、雨漏りも病気と同じで、起こってから改善する「対応力」よりも、雨漏り自体を起こさせない「予防力」の方が大切です。
当社では、前述の雨漏り技術が、中小機構の事業に採択されたことがご縁で、他の工事会社が技術の粋を尽くしたにもかかわらず、雨漏りが止まらないという難しい案件について、雨漏り原因の究明に立ち合ってきました。おそらく、日本で一番たくさんの雨漏りの現場に立ち合ってきたのではないでしょうか。
そして、そのような雨漏りの最前線に身を置き続けてきた結果、なぜ雨漏りが発生したかに関する情報が蓄積され、同時に、どうすれば雨漏りが発生しないかという予防的なノウハウの研究が進み、それを体系化することができました。他社の工事とはいえ、「失敗から学ぶ」ことは多いのです。
おかげさまで、今では「雨漏り」の事後的な対応力だけでなく、雨漏りを未然に防ぐ「予防力」についても、ノウハウが蓄積され、そのノウハウを大規模修繕工事に活かすように心がけています。
当社の大規模修繕工事が技術的に高い評価を受けているのは、「雨仕舞い」という建築工事においても最も重要といわれる分野で、このようなノウハウを持っていることに起因しています。
以上、「大規模修繕工事を必ず成功させる本」阿部吉男著 幻冬舎刊より。
現在は何でもかんでもAIの時代ですね。水漏れ対応にまで、当該方法が実施することができるようになれば、画期的なことです。
小職も過去に雨漏りで悩まされた経験があります。どこから浸入してどこを通って漏水しているのか、屋根からなのか、外壁からなのか、それとも上階の専有部分からなのか、どこから天井や壁等に漏水してくるのか、浸入経路は単純ではなく、今までは職人の勘に頼って判断するしか方法がなく、何度も何度も試行錯誤した末で、ようやく水漏れが止めることができるというものです。さらに、上記にあるように一カ所止まっても、また、別の箇所から回って漏れることも多々あるので、非常に厄介です。当該方法がこの水漏れ予備軍にも対応可能とのことなので注目しています。