高圧一括受電導入決議も反対者が契約解除を拒否 2/5 弁論 最高裁第三小法廷「解約義務」の争点 3月5日に判決
専有部分の電気供給方法を「高圧一括受電方式」に変更する決議が可決されたにもかかわらず、電力会社との間に結んだ既存の契約を解約しない区分所有者のために同方式による電気供給ができず、安い電気料金の恩恵を受けられなくなったなどとして、札幌市の団地型マンションの区分所有者が従来の電気料金との差額を「損害」だと位置付け、契約を解約しなかった区分所有者2人に不法行為に基づく損害賠償を求めた訴訟の上告審で最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は2月5日、双方の意見を聞く弁論を開き、結審した(2019年1月25日付・第1094号に事件の詳細)。
判決期日は3月5日。
この日、法廷で意見を求められた原告側代理人の小谷大介弁護士は、500戸を超える大規模マンションで高圧一括受電を導入するには「並々ならぬ労力を要することは想像に難くない」と言及。その努力と誠意が「わずか2人の区分所有者によって失墜のやむなきに至った」とし、また契約を解除しない理由も科学的・客観的な裏付けがないとして、区分所有者2人の行為は「強い非難を免れない」と訴えた。
その上で「マンションは共同生活の場であり、集会の決議や規約により、個々の区分所有者の権利が一定程度制限されるのはやむを得ない」と持論を述べた。
区分所有者側代理人からは、特に意見は出なかった。
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上告審では、区分所有者が、既存電力会社との契約解除を義務付ける旨を定めた総会決議または管理規約(使用細則)に基づき、契約の解約義務を負うかどうかが争点になっている。
最高裁は弁論に先立ち、この義務の存否に関し、総会決議・使用細則が区分所有法に基づき効力を持つことの根拠について、追加して説明したい点があれば答弁書で明らかにするよう原告に求めた。
法30条・6条根拠に
原告側は、答弁書で区分所有法上の根拠を同法30条1項、6条1項にある、としている。
総会決議に基づく細則は「マンションへの電力供給という、区分所有者全体に影響を及ぼす管理ないし使用に関する事項」だと指摘。「専有部分についても同法30条1項により規約で定めることが許容される事項に係る規定である」と訴え、同法30条1項に根拠を有する総会決議・細則に基づき、区分所有者2人は専有部分についての電力会社との電力供給契約を解約する義務を負う、と結論づけた。
同法6条1項については、契約を解約しない行為を「共同の利益に反する行為」だとした。
以上、マンション管理新聞第1096号より。
判決は2019年3月5日。
3月5日の最高裁の判決は、一審、二審を破棄するもので、損害賠償は棄却され判決が確定しました。
判断の理由は管理規約で専有部分の電力契約の解約を強制することはできないというもので、区分所有法の「区分所有者間相互の事項」にはあたらず、区分所有者に解約の義務はなく、解約の強制はできないというもの。