エレベーター21日時点で未復旧も 管理会社11社にヒヤリング 建物に深刻な被害なし?大阪で震度6弱
6月18日午前7時58分ごろに発生した大阪市北部を震源とするマグニチュード6.1、最大震度6弱の地震。分譲マンションでは建物が倒壊するほどの大きな被害はなかったとみられるが、一部では外壁のひび割れなどが発生し、エレベーターの閉じ込め被害もあったようだ。エレベーターが復旧していないため使用できないケースもあるという。
大阪に本社を構える管理会社11社に被害状況などをヒヤリングした。いずれも受託管理物件で大破級の建物の大きな被害は報告されていない。震度6弱を観測した高槻市や茨木市などを中心とした大阪北部で何らかの被害があるという。
11社ともエレベーターが停止したマンションがあり、このうち9社では居住者が閉じ込められる被害もあったが、地震当日に救出された。また、11社中4社では地震から4日目の21日時点でエレベーター会社による復旧作業待ちや、部品の修理などを伴うため停止状態のままになっているケースもあった。
地震が通勤時間帯に発生し、鉄道の運休や運転見合わせの影響で管理会社の社員が出勤できなかったり、遅れたりといった事態に見舞われた。
近畿で約430棟を管理している大手管理会社は、外壁のクラックやエキスパンション・ジョイントのずれなどが130~140棟あるとみている。被害は京都府や兵庫県伊丹市、西宮市にも発生しているという。地震翌日からチームを編成して、1日10棟を目安に現場で詳細な調査を開始。すでに40棟で調査を終えた。エレベーターは、閉じ込めが4棟で発生し震災当日に救出された。最長4時間かかったという。現在も停止しているのは10棟未満。
会社の災害マニュアルに従って、出社できない管理職は最寄りの営業拠点で震災対応に当たった。
600棟弱を受託する管理会社は、外壁のひび割れや手すり部分の破損が6棟あり、現在も順次確認作業を進めている。
エレベーターの停止は43棟。うち閉じ込め被害があった3棟中1棟は消防隊のレスキュー隊が救出した。やはり停止状態が残っているという。出勤途中で帰宅させた社員もいたそうだ。
約400棟を管理する管理会社は、エキスパンションの破損や玄関周りのひび割れ、漏水などが約40棟あり、比較的被害が多い15、16棟を確認し、管理組合に被害状況の一覧表を渡し始めた。閉じ込め被害は15、16棟。停止状態もある。震災当日の昼ごろに本社社員の7~8割がそろったという。
1894棟を管理している管理会社は、被害状況を確認中で、給水管からの水漏れなどがあるが「深刻な被害はない」とみている。閉じ込めは当日救出され、停止状態のものも翌日には解消されたという。社員が出社できたのは「震災当日は半分もない」。
306棟を管理している管理会社は、89棟で被害があるが「主要構造部にダメージはない」。危険個所は立ち入り禁止にする一方、社員が管理組合役員と同行して単身高齢者の安否確認も行った。閉じ込めは数件で当日1~2時間以内に救助が完了した。停止状態が全て解消したのは震災3日目で「エリアが限定されていたので比較的早い」という。
ガスの供給が停止している地域で21日から親会社の管理物件を含む12棟・1000戸に1戸当たり3本、ガスボンベの配布を始めた。
約90棟を管理している会社では、ガスコンロの貸与を行った。被害状況は、タイルの割れなどの被害が1割程度あるという。閉じ込め被害は当日、停止状態の解消は震災から3日かかった。
約80棟を管理している管理会社は、件数は把握していないが、壁のクラックの被害があるという。閉じ込めは2件で、1件は救出まで4時間かかった。停止状態は震災3日目の午前2時までに全て解消された。震災当日に出社できたのは全体の5分の1未満だったが「スマートフォンのSNSで情報共有しながら状況を把握したので有効に機能した」。
280棟を管理している管理会社も件数は把握していないが、タイルの剥落やクラックの被害がある。閉じ込めは当日に解消した。停止状態に一部のエレベーターのほか、機械式駐車場も復旧していない物件がある。
約200棟を管理している管理会社は、10棟でクラックやエキスパンションがずれた被害がある。京都府長岡京市でも被害があった。閉じ込め被害はなく、停止状態は震災4日目の朝に全て解消されたという。
527棟を管理している管理会社は、まだ被害状況を集計していないが、一部で雑壁のせん断破壊やエントランス床面の破損などがあるという。給水関係の被害は19件で、電気温水器の配管が外れて漏水しているなどといった被害がある。危険個所や損傷した給水管の応急措置を進めている。閉じ込めは2件で、2時間程度で救出された。約7割が停止し、一部では部品が脱落するなどして修理を伴うため「見込みが立っていない」そうだ。
約70棟を管理している会社は、10棟でクラックやエキスパンションがゆがんで手すり部分のずれが生じた。立ち入り禁止のロープを張るなど応急措置を行った。閉じ込め被害はなかった。40階建のタワーマンションで震災3日目に復旧が終わり、停止状態は全て解消された。このマンションでは、高層階の居住者に集会室を開放して避難を促した。
以上、マンション管理新聞第1075号からの抜粋。
このたびの大阪北部を震源とする地震により被害を受けられました皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
小職は生駒市在住で、発災当時は自宅マンションにおりました。
生駒には、生駒断層があります。
まず、直下型特有の上下の激しい揺れがあり、「ついに大地震がやってきたか?」と覚悟を決めましたが、幸いにして約15秒ほどで、揺れがおさまり、普段から自ら作成していた「防災マニュアル」に従って、発災時、自助として、自らガスコンロを使用中でしたので、まずガスを止め、元栓を閉め、電気ブレーカーも落とし(復旧時の通電火災防止)、玄関扉閉じ込め防止として、玄関ドアを開けに行きました。ガスはマイコンメーターが作動し、既に自動シャットダウンしていました。続いて、共助として、知人の数名の単身高齢者の安否確認を家人が実施しました。次にエレベーターが自動停止していますので、閉じ込めの確認を実施し、人がいないことを確認しました。
奈良市は震度5ということで、かなり強い揺れを体感しましたが、幸いにして揺れが15秒という短時間であったため被害は、エレベーターが翌日夕方まで停止した程度で、ライフラインの被害は全くありませんでした。
震度5であっても、あのまま15秒で止まることなく、揺れ続いていたら、被害状況は甚大なものとなっていたに違いありません。
大震災の「防災マニュアル」に基づく自助並びに共助の実践予備演習のような形となりましたが、今後いつ起こり得るかもしれない大地震に対応する為に各管理組合では「防災マニュアル」の作成をお勧めいたします。