第三者管理方式「分別管理」在り方も〔利益相反〕取引類型を検討 10/26第1回WG 国交省

投稿日:2023年11月13日 作成者:福井英樹 (545 ヒット)

国土交通省は「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」(座長=鎌野邦樹・早稲田大学法学学術院教授)を設置し10月26日、第1回会合を開いた。

現行の『外部専門家の活用ガイドライン』を改正し、主に理事会非設置で管理業者が管理者に就任する場合の留意点を盛り込む方針。管理組合に不利益となり得る取引類型などについて検討する。同省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)付によれば、早ければ年度内に改正する。

当日はガイドラインに盛り込む論点案が提示された(表参照)。

 

論点案

①既存マンションにおいて第三者管理者方式を導入する場合にプロセス

②新築マンションにおける第三者管理者方式の説明の在り方

③管理組合運営の在り方(管理者権限の範囲等)

④第三者管理者方式における、管理組合の財産の分別管理の在り方

⑤管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス

⑥日常の管理における利益相反取引等において望まれるプロセスや情報開示の在り方

⑦大規模修繕工事等において望まれるプロセスや情報開示の在り方

⑧監事の設置と監査の在り方

 

③の「管理者権限の範囲等」では、管理規約作成時の留意点として管理者権限、総会決議事項、管理組合の意見収集や議案提出方法等を整理する。災害時の体制作りの在り方も検討する。

④の「管理組合の財産の分別管理の在り方」では、管理業者による保管口座の印鑑所持を禁じるマンション管理適正化法施行規則の規定は「管理者の行為を規律するものではない」とした。

同省不動産・建設経済局参事官付によれば基本的には適正化法は適用されない考えで、こうした解釈を明らかにしたのは初。

⑤は解任や辞任に伴う新管理規約や理事会設立の準備といった必要なプロセス、また管理業者に責任追及を行う場合の対応を取り上げる。

⑧では監事の担い手や権限、業務・会計監査の方法について管理規約や監査の業務委託契約書等における留意点を挙げる。

他では管理業者やマンション管理士など区分所有者以外が管理者になる場合の名称を「第三者管理者方式」と示した。

住宅局参事官付によれば、同方式には理事会設置型も含まれている。

 

意見交換会では、瀬下義浩委員が管理規約で管理者名を記載し「管理者の変更を4分の3の特別決議にしているところもある」と留意点を挙げた。

論点⑥の日常管理について「集会の決議が必要と絶対条件にしてほしい」と求めた。

戎正晴委員は、管理業者が管理者になるイメージとして「権利能力なき社団である管理組合を残しながら理事長と管理者を分離してその管理者に外部の管理業者などが就任する」場合と、区分所有法の「3条団体のまま代表を置かないで管理者だけは選任し、その管理者に外部の管理業者等が就任する」場合を挙げた。

その上で、ガイドラインで「どちらかが許されないという可能性を閉ざしてしまうようなことになると良くない」と指摘した。

香川希理委員は「そもそも管理者とは何か。管理者の業務は何か。管理組合の業務とどう分けるのかみたいなことを整理しないといけない」と述べた。

「管理者委託契約書」などのひな型を示すかどうかも尋ねた。

同省は「ひな型的なものも含めることはあり得る」と答えた。

以上、マンション管理新聞第1252号より

 


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