独自基準は6項目 適正化推進計画案公表 認定制度、10月開始へ 堺市
堺市は5月27日、マンション管理適正化推進計画(案)を公表した。市まちづくり課によれば、推進計画の策定は8月、管理計画認定制度の開始は10月を予定している。管理計画認定制度は耐震性能・防災対策など計6項目の独自基準を設定する予定だ。助言・指導の目安、適正化指針も同様に市の独自基準を設ける。
計画案は6月16日~7月15日まで意見公募手続き(パブリックコメント)を行う。当初はパブリックコメントをせずに4月の策定を予定していたが、認定制度などで市の独自基準を設定するため延期していた。
管理計画認定制度の市の独自基準は6項目(表①参照)。耐震性に関する3項目は旧耐震向けの基準。耐震診断未実施・耐震診断実施済み・耐震計画認定取得済みの各段階で認定項目を分けているのが特徴だ。
同課によれば、この3項目中1項目に適合することが必要。
診断未実施の場合は計画認定申請日から5年以内の
耐震診断実施を総会で決議していることが要件となる。
診断実施済みで耐震性が不足していると判定されたケースは、同様に耐震改修計画認定の取得について総会で決議しているか建て替えについて総会等で議論を行っていることを求める。
計画認定取得済みの場合が、申請日から5年以内の耐震改修工事完了を長期修繕計画(長計)に記載していることを要求する。
他では管理規約に防災対策について規定することや管理組合専用の郵便受けの設置、建築基準法の定期報告で要是正項目の改善予定を長計に記載していることも求める。
同課によれば、市への認定・更新申請手数料は有料にする方針。
「管理計画認定手続支援サービス」による事前確認適合証がある場合は手数料を定額に設定する。8月の市議会に手数料条例の改正案を提出する予定。
助言・指導等の判断基準の目安では、大阪府と同じ「建物の劣化や損傷が発生した場合または見込まれる場合は早急に点検し、修繕する」を追加する(表②)。同課によれば、ハード面に関する基準。
市の管理適正化指針では、国の指針に「マンションの管理の適正化のために理事会が留意すべき事項」を追加する(表③)
計画の基本方針として、定期的な実態調査による管理状況の把握、管理の重要性の啓発による自律的な維持・管理の促進、管理不全を防ぐための能動的な支援を掲げる。
計画期間は2022年度~30年度。
管理適正化の数値目標では25年以上の長計に基づく修繕積立金額を設定する管理組合の割合21年度65.4%を30年度75%にする。
市は5月26日、21年度に実施した実態調査結果も公表している(次号に掲載)。
①市の管理計画認定の独自基準
(1)耐震性能に関する追加基準
①耐震診断未実施マンション※においては、マンション管理計画認定申請日から5年以内に耐震診断を実施することを総会において決議されていること
②耐震診断を実施済みのマンションにおいては、耐震診断の結果、耐震性が不足するものである場合、以下のいずれかの基準に適合すること
・耐震改修計画認定※をマンション管理計画認定申請日から5年以内に取得することを総会において決議されていること
・建て替え等に向けて総会等において議論を行っていること。ただし、耐震診断実施後10年を超えて議論を行っている場合にあっては、耐震化に係る進捗がないものとし、原則としてマンション管理計画の認定を行わない
③耐震改修計画認定を取得している場合、その計画に基づく耐震改修工事がマンション管理計画認定申請日から5年以内に完了することを長期修繕計画に記載していること
(2)防災対策に関する追加基準
①マンションの防災上の特色や管理組合等が行う防災対策等について「防災アクションプラン」として明文化し、これを管理規約等に定めること
(3)その他の追加基準
①管理組合専用郵便ポストを設置していること
②建築基準法第12条第1項に基づく定期報告において報告された要是正項目(既存不適格を除く)について、改善予定を長期修繕計画に記載していること(定期報告の対象となる建築物に限る)
※耐震診断未実施マンション・・・1981年5月31日以前に新築の工事に着手したマンションで耐震診断を実施していないマンション
※耐震改修計画認定・・・建築物の耐震改修の促進に関する法律第17条の規定に基づく建築物の耐震改修の計画認定
②市が追加する助言・指導等の判断基準 下記の事項が順守されていない場合
建物の劣化や損傷が発生しした場合または見込まれる場合は早急に点検し、修繕すること
③市の管理適正化指針の追加内容
マンションの管理の適正化のために理事会が留意すべき事項
理事会が設置されている場合には、管理規約に定められている職務に応じ、理事会を定期的に開催するなど適切に運営する必要がある。
以上、マンション管理新聞第1205号より。