災害時における管理組合の意志決定(専有部分への立入りに至るまで)について

投稿日:2016年06月28日 作成者:福井英樹 (3708 ヒット)

災害時における管理組合の意志決定(専有部分への立入りに至るまで)について同各条コメントについて、日管連加盟の(一般社団法人)大阪府マンション管理士会所属 日管連登録マンション管理士有志勉強会(2016年6月25日開催)で討議いたしました。

災害時等の管理組合の意志決定や緊急時の理事の立ち入りについて明記された今回の改正は、被災現場の声を反映したより実践的なものとなっています。

災害時には、避難されている区分所有者も多く、総会や理事会が開催できないため、修繕積立金の取り崩しが出来なく、緊急対応工事が遅れてしまったという事例が、実際、後を絶たなかったといわれます。

また、災害時等の緊急時において、いわゆる保存行為を超える応急的な修繕行為の実施が必要であるが、総会の開催が困難である場合には、理事会において、その実施を決定することが出来ることとしているが、突発的な被災では、その理事会の開催さえ困難な場合があることから、保存行為に限らず、応急的な修繕行為の実施まで理事長単独で判断し、実施することが出来る旨を、規約において定めることも考えられる。
とコメントは明記しています。

さらに、コメントは続き、
理事長をはじめとする役員が対応できない事態に備えて、あらかじめ定められた方法により選任された区分所有者等の判断により保存行為や応急的な修繕行為を実施することが出来る旨を、規約において定めることも考えられる。

なお、理事長等が単独で判断し実施することが出来る保存行為や応急的な修繕行為に要する費用の限度額をついて、予め定めておくことも考えられる。

等、同コメントで明記されています。

さらに、また、同コメントでは、
緊急対応が必要となる災害の範囲としては、地震、台風、集中豪雨、竜巻、落雷、豪雪、噴火などが考えられる。
「総会の開催が困難である場合」とは、避難や交通手段の途絶等により、組合員の総会への出席が困難である場合である。
「応急的な修繕行事」は、保存行為に限らず、二次災害の防止や安全の確保のために緊急対応が必要な、狭義の管理行為も含まれ、例えば給水・排水、電気、ガス、通信といったライフライン等の応急的な更新、エレベーター附属設備の更新、炭素繊維シート巻きつけによる柱の応急的な耐震補強などが該当する。
それに伴い、必要な資金に借り入れ及び修繕積み立て金の取り崩しについても、理事会が決議することが出来るとするものである。

としている。

なお、上記「応急的な」とは、危険性の判断基準であり、人が中に入ったら、危険であるかの基準である。

また、「緊急の立ち入り」が認められるのは、災害時等における共用部分に係わる緊急的な工事に伴い必要な場合や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがある場合にかぎられる。

なお、上記「緊急の立ち入り」の実効性を高めるため、管理組合が各住戸の合い鍵を預かっておくことを定めることも考えられるが、これはプライバシーの問題等があるので、各管理組合の個別事情を踏まえて慎重に検討する必要がある。

としている。

今回のコメントでは、阪神淡路大震災並びに東日本大震災を経て、その体験を下に、被災時のきわめて具体の詳細を明記し、解説していますので、各管理組合での規約改正に当たって、細則等への落とし込みが大変しやすいものとなったと推測されます。

すなわち、

今後、きわめて高い確率性で起こり得る大震災等への対策として、各管理組合での個別事情に合わせて、規約改正を検討し、当該コメント部分を基本に細則等で、具体的な細部にわたっての改正を実施していく際の模範と成り得べきものと思われます。


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